横田 智巳 | 教員紹介 | 東京理科大学 理学部第一部数学科(よこた ともみ)

個人のオリジナルホームページ

URL: http://www.rs.kagu.tus.ac.jp/~yokota/

連絡先

E-mail: yokota@rs.tus.ac.jp(SPAM対策の為アットマークは全角です)

研究分野

解析学 (偏微分方程式、抽象的発展方程式)

研究内容

関数の微分(導関数)を含む方程式は微分方程式と呼ばれ, 熱の伝わり方, 波の伝わり方, 生物の動きなど, さまざまな現象を微分方程式で記述することできます。本研究室では, 解を具体的に表示することが困難な微分方程式(主に非線形偏微分方程式)について, 解析学における抽象的な理論と微分積分に基づく計算によって, 解の存在や解の性質に関する予想を立てて研究しています. 例えば, 時刻を変数とする関数の微分方程式は, 時間の経過に伴うある量の変化を記述しています. そのようは微分方程式に対して, 時間が十分経過したときの解の様子を数学的に調べることによって, 未来の状況が解明できることになります.

最近取り組んでいる研究として,細胞性粘菌が化学物質に反応して引き寄せられる性質を記述した数理生物モデルである「走化性方程式系」やその周辺の研究があげられます。また,医学への貢献も期待される「癌浸潤現象を記述する方程式系」についても研究しています.

東京理科大学のホームページ内の研究室紹介

https://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01Detail.php?act=pos&kin=ken&diu=2e54

もご覧ください.

主要論文・著書・学会発表

  • (with Monica Marras, Stella Vernier-Piro), Behavior in time of solutions to a degenerate chemotaxis system with flux limitation, Nonlinear Anal. Real World Appl. 81 (2025), Paper No. 104215, 12 pp. 
  • (with Yutaro Chiyo, Yuya Tanaka, Ayako Uchida), Global asymptotic stability of endemic equilibria for a diffusive SIR epidemic model with saturated incidence and logistic growth, Discrete Contin. Dyn. Syst. Ser. B 28 (2023), no. 3, 2184–2210.
  • (with Masaaki Mizukami),  A unified method for boundedness in fully parabolic chemotaxis systems with signal-dependent sensitivity, Math. Nachr. 290 (2017), 2648–2660.
  • (with Kentarou Fujie, Akio Ito, Michael Winkler), Stabilization in a chemotaxis model for tumor invasion, Discrete Contin. Dyn. Syst. 36 (2016), 151-169.
  • (with Sachiko Ishida, Kiyotaka Seki), Boundedness in quasilinear Keller-Segel systems of parabolic-parabolic type on non-convex bounded domains, J. Differential Equations 256 (2014), 2993–3010.

詳しくは東京理科大学のホームページ内の論文・学会発表 https://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01Detail.php?act=pos&kin=ken&diu=2e54をご覧ください.

卒研・院生の指導内容

卒研: 3年次までの講義において修得した数学の知識を基礎として,解析学の内容についての本をセミナー形式・グループディスカッション形式で読みます.2024年度以降は

 ① 微分方程式とその応用
 ② 偏微分方程式の研究準備

をテーマとして,①では感染症の流行モデルなど身近な現象を記述する微分方程式に関する初学者向けのテキストをグループディスカッション形式で学び,②では関数解析の基礎から超関数理論(Sobolev空間論)に関する洋書(H. Brezis「Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial  Differential Equations」)をセミナー形式で学びます.

院生: 修士課程1年次には, 卒研①の発展的内容を含むテキストや卒研②のテキストをセミナー形式で読み終えます. その後, いくつかの文献(論文)を読みながら研究テーマを決め, 研究していきます.

担当科目(年度により変動)

  • 解析学の基礎 (数学科1年生、前期)… ε-δ論法、1変数の微分積分の理論
  • 1変数の微分積分 (数学科1年生、前期)… 1変数の微分積分の計算
  • 多変数の微分積分 (数学科1年生、後期)… 多変数の微分積分の理論と計算
  • 解析学1 (数学科2年生,前期)… 級数論・一様収束等
  • 解析学2 (数学科2年生,後期)… 複素関数論の入門
  • コンピュータ入門2 (数学科1年生,後期)… LaTeX, Beamer
  • 解析学4 (数学科4年生)… 微分方程式に関する講義
  • 卒業研究 (数学科4年生)… 微分方程式とその応用・偏微分方程式の研究準備

学部学生へのメッセージ

 大学数学は, 抽象的なことが多くなり, とらえにくく本当に役に立つのか疑問に思ったり, 学ぶことの意義を見出せなくなったりするかもしれません. 例えば, 水(water)よりお金(money)のほうが役に立つと考えるのが普通かもしれませんが, 砂漠ではお金は何の役にも立たません. 数学の学び・研究を通して獲得した能力は将来必ず役に立ちます。
 横田研究室は7号館7階にあります。在学中(卒業後も)くじけそうなときには、遠慮なく相談に来て下さい。

高校生へのメッセージ

 2乗して-1になる数 (虚数単位 i ) は想像上の数だと思っていませんか? 4次元や無限次元の空間も架空の世界だと思っていませんか? それらはすべて実数の世界から自然に理解することが可能です. また, そのような常識を超える概念は, 身の回りの現象を数式で記述し研究するときに役立ちます. さらに, 高校で学ぶ微分積分などは, 大学ではより一般的で発展的なものに拡張されていきます. そのような数学の学習を通して獲得できる「思考力」は、どの世界でもきっと役立つはずです.