研究内容
偏微分方程式の解の存在と一意性、そして解の性質を調べる研究をしています。
特に、弾性体や空気中の音波を記述する非線形波動方程式の解の爆発や解の正則性(解の滑らかさ)と半導体内の電子の密度(確率密度)を記述する移流拡散方程式における長時間挙動を研究しています。
偏微分方程式を解くうえで重要な関数空間や関数不等式を、調和解析(フーリエ解析)、関数解析、確率論を使って調べる研究もしています。
主要論文・著書・学会発表
- Well-Posedness of Degenerate Initial-Boundary Value Problems to a Hyperbolic-Parabolic Coupled System Arising from Nematic Liquid Crystals, Arch. Rat. Mech. Anal., Vol. 249(19), (2025) (Yanbo Hu氏との共著).
- Formation of singularities for a family of 1D quasilinear wave equations, Indiana Math. Journal, Vol. 71(6), 2529-2549, (2022).
- Asymptotic behavior of solutions to the drift-diffusion equation with critical dissipation, Annales Henri Poincaré, Vol. 17(6), (2016) 1331-1352 (山本征法氏との共著).
- Degeneracy in finite time of 1D quasilinear wave equations, SIAM J. Math. Anal., Vol. 48(2), 847-860, (2016).
- Local existence and uniqueness theory for the second sound equation in one space dimension, Journal of Hyperbolic Differential Equations, Vol. 9(1), 177-193, (2012) (加藤圭一氏との共著)
卒研・院生の指導内容
卒業研究:学生の興味に応じて、偏微分方程式、確率論、数理ファイナンス、機械学習の教科書を輪講。
担当科目(年度により変動)
- コンピュータ入門1
- 数理統計学1(2クラス)
- 数理統計学2
- 確率論1,2
- 数学特別講義4
- 卒業研究
学部学生へのメッセージ
数学を学んでいると、行き詰まることもあると思います。
もちろんそれは数学に限った話ではなく、大学生活そのものが予想以上に難しく感じられることもあるかもしれません。
そんなときは、一人で抱え込まず、誰かに話してみるのも一つの方法です。
数学科のある7号館には、気軽に相談できる教員や、頼りになる大学院生の先輩たちがいます。
私もその中の一人として、学問のことを含め、力になれればと思っています。
高校生へのメッセージ
大学で学ぶ数学は、数や図形にとどまらず、空間、構造、無限、確率といった多様な概念を扱います。
抽象的でありながら、他の科学や社会の仕組みにも深く関わっていて、思索と応用の両面に豊かな世界が広がっています。
すぐに答えが出ないこともありますが、問いを立て、考え、論理を積み重ねていく過程そのものが、数学ならではの醍醐味です。
数式や論理を通して、世界のしくみを少しずつひもといていく。
そんな知的な冒険が、数学には詰まっています。