私は大学で数学を4年間勉強したことで課題を力強く突破していく力が身につきました.これは数学の知識を直接に使わない仕事であっても役に立ちます.数学では頭を悩ませる様な難しい問題が多いですが,これらと向き合って一つ一つクリアしたことが今の自分の糧となっています.
高校生や理科系大学生の学ぶ数学は,数学という道具を“どう使うか”にスポットがあたりますが,この学科では数学という道具自体の“作り方”まで深く研究できました.低学年では先人たちの造りあげてきた論理が信頼できることを皆で確かめ,高学年になるとそれぞれ好きな分野について論理を組み立て思考を表現する練習をしていきます.教員養成に伝統ある理科大ならではの手厚い教職支援も大きな魅力でした.ここで数学という学問の本質に触れた経験は,中高の教師として私がこれから成長し続けていく力となるでしょう.トーク力やプレゼン能力を磨くことは仕事をしながらでも出来るかもしれませんが,数学工場の現場を見学する機会はないと思います.数学の製造工程を体験し,仲間と汗を流したからこそ,伝えていける数学の魅力があると感じています.
入学時点で思い描いていた夢を熟成させる場が研究室.ここでの学びが「就職」や「進学」といった次なるステップのベースになります.
(教員20%)
2022年3月卒業生
近年の主な進路先
NTTデータ・アイSCSKNECソリューションイノベータ富士ソフト
東京海上日動システムズ三菱総研DCS野村総合研究所みずほ情報総研
ソフトバンクソニー生命保険富国生命保険オリックス生命保険
ゆうちょ銀行三井住友信託銀行りそなグループほか
地方公務員ほか
東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県等の公立中学・高等学校
私立中学・高等学校ほか
2020年3月~2022年3月卒業生
主な進学先
東京理科大学大学院東京工業大学大学院
名古屋大学大学院筑波大学大学院ほか
2020年3月~2022年3月卒業生
62.5%
(教員 9.4%)
37.5%
97.2%
(教員 46.5%)
数学専攻は文字通り数学を深く学ぶところであり,博士後期課程ではオリジナルな研究成果を挙げられるように十分な指導を行います.現代数学はいろいろな分野にまたがって研究が進んでいて,広い知識を持つことが望まれますが,やはり伝統的な分野ごとの特色がありますから,本コースでは「代数学」,「解析学」,「幾何学」,「確率.統計」という4つの専攻部門を設けています.入学した大学院生は,これらの専攻部門に所属する教員の一人を指導教員として,学部のときとは比較にならない密度で数学を学ぶことになります.
修士課程では講義科目も必修ですが,学習の中心は1,2年次を通じて行われる文献研究です.文献研究ではゼミナール形式で,専攻分野の基礎的なテキストから始まって,数学の論文を完璧に理解しながら読む指導を受けます.この中で研究のための基礎知識を着実に身につけ,数学をすることがどのようなことかを理解することを目指します.これらの勉学の中で自然に取り組むべき問題が見つけられ,それを自力で解決することができれば修士課程の勉強としては最高ですが,2年間の成果が認められれば修士の学位を取得することになります.
博士後期課程では修士課程の成果を受けてさらにそれを発展させ,これまでにない新しい研究成果を得ることが目標です.ほとんどの場合修士(博士前期)課程に引き続き同じ教員の指導を受けることになりますが,ゼミナールが勉学の中心となります.博士課程ではゼミナールも修士課程に比べれば学生の力量が増すため,学生の自主性に任される部分が多くなり,指導教員との「共同研究」に近くなってきます.こうなることは指導教員にとっても大変うれしいことです.そして研究成果を論文として発表できて,審査に合格すれば,博士の学位を得て数学の専門家としてのスタートラインに立てることになります.数学の路は果てがなく,これはまだまだほんの入り口ですが,首尾良く学位を得た人は大いに祝福されます.なお,博士後期課程は原則として3年ですが,非常に優秀で多くの成果を挙げた場合は2年で学位を取得できる場合もあります.