横田 智巳(よこた ともみ)

個人のオリジナルホームページ

URL: http://www.rs.kagu.tus.ac.jp/~yokota/

連絡先

E-mail: yokota@rs.kagu.tus.ac.jp(SPAM対策の為アットマークは全角です)

研究分野

偏微分方程式

研究内容

関数の微分(導関数)を含む方程式は微分方程式と呼ばれ, 熱の伝わり方, 波の伝わり方, 生物の動きなど, さまざまな現象を微分方程式で記述することできます。本研究室では, 解を具体的に表示することが困難な微分方程式(主に非線形偏微分方程式)について, 解析学における抽象的な理論と微分積分に基づく計算によって, 解の存在や解の性質に関する予想を立てて研究しています. 例えば, 時刻を変数とする関数の微分方程式は, 時間の経過に伴うある量の変化を記述しています. そのようは微分方程式に対して, 時間が十分経過したときの解の様子を数学的に調べることによって, 未来の状況が解明できることになります.

これまでに研究してきた微分方程式として, 複素Ginzburg-Landau方程式があります. 複素Ginzburg-Landau方程式は,化学波の伝搬を考えるときに現れる微分方程式で,数学と物理学の双方にまたがり盛んに研究されている非線形偏微分方程式の一つです.非線形Schrödinger方程式との関係(粘性消滅極限問題)や複素Ginzburg-Landau方程式の解の挙動(大域的アトラクターの存在)などに興味があり, 研究を進めています.

最近は,細胞性粘菌が化学物質に反応して引き寄せられる「走化性」に関する生物モデルであるKeller-Segel系やその関連を中心に研究室メンバーとともに研究に取り組んでいます. 将来, 医学への貢献も期待される「癌浸潤現象を記述するモデル」についても研究しています.

東京理科大学のホームページ内の研究室紹介

http://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/intro.php?A11860

もご覧ください.

主要論文・著書・学会発表

  • (with Misaki Hirata, Shunsuke Kurima,  Masaaki Mizukami),  Boundedness and stabilization in a two-dimensional two-species chemotaxis-Navier–Stokes system with competitive kinetics, J. Differential Equations 263 (2017), 470–490.
  • (with Noriaki Yoshino), Local and global existence of solutions to a quasilinear degenerate chemotaxis system with unbounded initial data, Math. Methods Appl. Sci. 39 (2016), 3361–3380.
  • (with Kentarou Fujie, Akio Ito, Michael Winkler), Stabilization in a chemotaxis model for tumor invasion, Discrete Contin. Dyn. Syst. 36 (2016), 151-169.
  • (with Yuta Kugo, Motohiro Sobajima, Toshiyuki Suzuki, Kentarou Yoshii), Solvability of a class of complex Ginzburg-Landau equations in periodic Sobolev spaces, Discrete Contin. Dyn. Syst. 2015, 10th AIMS Conference, Suppl., 754–763.
  • (with Sachiko Ishida, Kiyotaka Seki), Boundedness in quasilinear Keller-Segel systems of parabolic-parabolic type on non-convex bounded domains, J. Differential Equations 256 (2014), 2993–3010.
  • Monotonicity method applied to complex Ginzburg-Landau type equations, J. Math. Anal. Appl. 380 (2011), 455–466.
  • (with Takayoshi Ogawa), Uniqueness and inviscid limits of solutions for the complex Ginzburg-Landau equation in a two-dimensional domain, Comm.Math. Phys. 245 (2004), 105-121.
  • (with Shingo Takeuchi), Global attractors for a class of degenerate diffusion equations, Electron. J. Differential Equations 2003 (2003), No. 76, 1-13.
  • (with Noboru Okazawa), Global existence and smoothing effect for the complex Ginzburg-Landau equation with p-Laplacian, J. Differential Equations 182 (2002), 541-576.

詳しくは東京理科大学のホームページ内の論文・学会発表 http://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/achievement.php?A11860をご覧ください.

卒研・院生の指導内容

卒研: 3年次までの講義において修得した数学の知識を基礎として,解析学の発展的な内容についての本をセミナー形式で読みます.過去のテーマは

  • [2005年度] Schwartz超関数の理論とその応用
  • [2006年度] 偏微分方程式(主にLaplaceの方程式)の基本的な研究
  • [2007年度] 偏微分方程式(主に線形の熱方程式)の基本的な研究
  • [2008年度] 常微分方程式の解の挙動
  • [2009年度] 無限次元力学系理論と微分方程式への応用
  • [2010年度] 偏微分方程式の関数解析的研究
  • [2011年度] 微分方程式の解の挙動

です.2012年度以降は

  • 関数空間及び偏微分方程式の研究

をテーマとして,基本的な関数空間についての理解と熱の拡散等の現象を記述する偏微分方程式の研究を目標としています.単なる勉強で終わらないように,研究課題を自ら(あるいは指導教員からの提案をもとに)設定し,その課題に取り組むようにします.1年間の総まとめとして1月末または2月初めに行う解析系卒業研究発表会は,大学院進学,教員,企業への就職等で求められるプレゼンテーション能力の向上に役立つと思います.

院生: 修士課程1年次には, H.Brezis著「関数解析 その理論と応用に向けて」(産業図書)の一部を輪講(ゼミ)形式で読みます. その後, いくつかの文献(論文)を読みながら研究テーマを決め, 研究していきます.

担当科目(年度により変動)

  • 解析学の基礎 (数学科1年生A組、前期)… ε-δ論法、微分積分の理論
  • 1変数の微分積分 (数学科1年生A組、前期)… 1変数の微分積分の計算
  • 多変数の微分積分 (数学科1年生A組、後期)… 多変数の微分積分の理論と計算
  • 数学研究1 (数学科3年生,前期)… Fourier解析
  • 微分方程式論 (数学科3年生,後期)… 常微分方程式
  • 解析学4 (数学科4年生,後期)… Sobolev空間, Hille-Yosidaの定理, 偏微分方程式
  • 卒業研究 (数学科4年生)… 熱方程式の研究

学部学生へのメッセージ

 大学における数学は, 計算が主体の高校数学と比べて, 「基礎・基本」をとても大切にして, 一般的かつ抽象的なことをじっくり学ぶ機会が多くなります. 具体的な計算や例だけでは理解できないことがあったり, 厳密な論証についていけなくなったりするかもしれません. 私自身, 大学で学ぶ数学をきちんと理解するのに大変苦労しました. 実際, 高校までは体験したことのない「わからない」という状態のまま, 高度で難解な数学と何年間も付き合うことになりました. わからなくなると, 大学で学ぶ数学が本当に役に立つのか疑問に思うことが多くなり, 数学を学ぶことの意義を見出せなくなります. しかし, そこであきらめてはいけません. 例えば, 飲料水よりお金のほうが役に立つと考えるのが普通かもしれませんが, 砂漠ではお金は何の役にも立たません. また, 学ぶことで得られる知的財産は決してお金では買うことはできません. すぐに役に立ちそうでないことでも, 粘り強く頑張ればいつかきっと何かの役に立つと信じましょう. 「基礎・基本」を大切にすることは, 多少時間がかかっても, 長い目で見ればむしろ効率が良いものです. 数学科で習得できる学びの姿勢は, どのような道に進んでもきっと役に立つと思います.

 一方で, 学部時代は, 学業以外にも多くの経験を積み人間的に成長するための大切な期間です. 夏季休暇や冬季休暇等を利用して, 世界に目を向け国際経験を積んだり, 日本国内でも未知の領域に足を踏み込んでみたりするのもよいと思います. ただし, 仮に学業以外で熱心に打ち込めるものがあったとしても, 本業である学業をおろそかにしていては「本来やるべきことをできない人」と低く評価されてしまうかもしれません. 本業(学業)をしっかりやった上で,様々な経験を積み,充実した学園生活を送ってください.困ったことがあれば,いつでも相談してください.

高校生へのメッセージ

 東京理科大学理学部第一部数学科は, 「数学が好きな人」を中心に, 謎解きが好きな人, パズルやゲームが好きな人, 変わった人, (私のように^^)普通の人などが様々なタイプの学生や教員がいます. 低学年での基礎的な学習を経て, 高学年になると, 学生が前に出て教科書の内容を解説するゼミ形式の授業や1つの問題点について仲間と一緒に検討する機会などがあります. 数学という学問を通して, 論理的な思考力や説明力を(楽しみながらor苦しみながら)鍛えることができます. 将来は, 中学・高校の数学の教員になったり, 数学的思考を武器に民間企業で活躍したり, 数学者になったりするなど, 幅広く進路を選択することができます. 数学科で学ぶためには, 受験で合格しなければなりませんが, 受験数学だけでなく入学後の数学の学習に向けて,計算力だけでなく論理的思考力をつけておくとよいと思います. 例えば, 難しいと感じる問題でも30分程度であきらめずに, 時には数時間, 数日間考えられるような粘り強さもあるとよいかもしれません.